街角に消えていくあの父子は
いつもキレイな服と指輪
太陽みたいにきらきら輝いて
使用人たちを連れて歩く

僕は手を洗う石鹸すらない
服も着ている一枚きりで
靴は底がすり減って穴あき
雨が降っても屋根なんてない

守ってくれる家族がいるのは
いつも見かける父子たちだけ
知り尽くした街に黙ってそびえ建つ
お城みたいな家の持ち主

今日の夜食べるものもなく
盗むしか生きる術のない僕は
いつしか商売をするようになった
僕はストリートの少年

僕の仕事が犯罪というなら
酷いこの世界を変えてみるがいい
変わらない世界を君は思い知り
僕の商売も立派な手段と言うはずさ

尤もこんな仕事をしたいわけがない
大人はいつも自分のことばかり
安い快楽が愛しいのならば
ひとときの愛に永久に溺れてしまえ

あの街角に消える父子に
僕の気持ちなんてわからないだろう
友だちはおろか家族もない
僕が腕に抱く孤独なんて

キレイな服や指輪なんて望まないけど
手を引いてくれる誰かがいたらとは思う
誕生日に祝ってもらえたりとか
些細なことばかり夢に見る

けれど僕に待っているのは
今日も明日も明後日も孤独
夜の仕事に空っぽの言葉
心にもない愛の囁き

誰か僕を知っていますか
僕はストリートの少年
屋根のある家の子どもには
縁があるはずない存在

僕は助けなんて求めません
今日も明日も明後日も男娼
人知れず流す涙は
悲しくも宝石より綺麗