『クリスマスですよ、坊ちゃん』
「そうだな」
『いよいよ当日ですね』
「……そうだな」
『クリスマスプレゼントを受け取りに戻りませんか?』
「どこに」
『坊ちゃんの実家に』
「僕は、そんなものに興味はない」
『ああ、そっか。マリアンに会うと、もう家を出たくなくなりますよね。わかります、わかりますよ』
「ち、違う。 そんなのじゃなくて……」
『ユーキは坊ちゃんになにをくれるんですかねー。楽しみだなあ』
「ユーキ? あいつ、またなにか企んでるのか。いや、目論んでる、というほうが近いか」
『坊ちゃん、どんなプレゼントだったら嬉しいですか?』
「僕は別に、そもそも、こんなイベントに興味ないし……。それに、あいつから貰えるならなんだって……」
『え? なになに?』
「あ、いや、なんでもない。シャル、冷静に考えてみろ。ユーキが今までに、僕たちにくれたものを」
『たち?』
「ひとつ、余計な苦労。ふたつ、余計なお世話。みっつ、余計な心配。よっつ、余計という「そのもの」。仮にクリスマスプレゼントをくれるとしても、それはきっと余計なものだ」
『またまたあ、坊ちゃんってば。なんだかんだ言って、坊ちゃんとユーキって、誰が見ても仲良しこよしですよ。本当は期待してるんでしょう? 僕にだけは、素直に打ち明けてみてくださいよー♪』
「期待はしてない。断じてない」
『マリアンのときとはずいぶん違う反応ですねぇ』
「前々から思ってたんだが、お前は一体なんなんだ。僕とユーキになにを望んでるんだ」
『別に……
ただ、なんか面白くないなって』
坊ちゃあーんっ!
『あ、ユーキだ。 久しぶりだね、ユーキ!』
あ、久しぶりだね、シャル。シャルのプレゼントはないからね。
『言わなくてもいいよ、そんなのは』
でね、坊ちゃん。坊ちゃんへのクリスマスプレゼントなんだけどー……。へへ(o`∀´o)
「え……本当に」
『ユーキ、嬉しそうなわりに手ぶらなのはなんで?』
うん。坊ちゃんになにあげればいいかわかんなかったから、坊ちゃん、プレゼントはユーキってことで(^-^)
「……は」
『はい?』
『今……なんて?』
プレゼントに、ユーキをあげる。
「………」
『うわあ、よかったですねぇ、坊ちゃん! これでユーキは確実に坊ちゃんのものですよ!』
「詳しく答えろ。どうしてそういう発想になった。いや、どうしてそういう発想ができるんだ。お前の頭になにがあった。ただでさえプリンみたいな脳みそなのに、そこにさらなる衝撃を加えたのか」
一緒懸命考えた結果なんだけど。
「そうか。じゃ、僕は即答してやる。いらない」
えー(´Д`)
だって、ほかに思いつかなかったし
「…少し冷静になるぞ。ちょっと頭を休ませろ。それから落ち着いて、この状況を考察するぞ」
うん。
『あれ、意外に素直……』
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