静かでありがちな夜を君はどう過ごそう
僕が其処にいて不自然じゃないかな
君に訪れた平穏な夜
僕が奪ってしまわないか不安だ

みっともない僕の心配を他所に
優しい微笑を湛えながら僕の手を引く
そんな君が素直に大切で
気持ちはこんなにも大きくなる

ここまで穏やかな夜くらいはせめて
楽しくて満ち足りたことを考えよう
何度とないこんな夜は
なにから君に話していこうか

あり得なかった現実を語るのもいいだろう
僕と君が掴み得なかった理想を
今までの理想じゃなくて
ひとつの空想とした話を聴いて欲しい

夜はまだまだ長くて明けず
話はまだまだ尽きることなく
今度は君が僕に話して
なんでもない会話が愛しいのは嘘じゃない

今のこの少しの幸せが
たとえ嘘だとしてもそれでいい
今の僕らに必要なのは下手な真実じゃない
難しい答えなんて欲しくない

ふたり隣り合わせで背中合わせで
先のことなんて今はどうでもよくて
一緒にいられるのは僅かな時間
それならこの瞬間をどう埋めていこう

この夜が明けてしまったら
この小さな平和を失ってしまう
それならせめてその前に
その前にどうか一度だけ

そっと僕の手を引いた
君の手の温度を忘れられなくて
いつまでも錯覚していた
其処に僕ではなくて君がいること

時間はもう少ないけれど
まだ僕たちに許されていること
手を繋ぐことさえないとしても
同じ場所で生きていられる選択肢

君に訪れた平穏な夜
僕が壊してしまわないか不安だ それでも
僕が其処にいて不自然じゃないのなら
今夜は君となにを話そう