「はあ……」
『どうしたんですか、坊ちゃん。新年早々に』
「ユーキはどこに行ったんだ」
『ちょっとクッキー作る材料買いに行くって、さっき出かけたじゃないですか』
「そうだったっけ…」
『だったっけって、なんなんですか。らしくないですね』
「クリスマスのパーティーに呼ばれた僕とシャルは、大きな会場に連れていかれた」
『あ、なんか僕自身も招待されたようで、その言い方嬉しいです』
「呼ばれた僕と、シャルは会場に連れていかれた」
『わざわざ言い直しますか、そこ。人間性を垣間見ますね』
「見知った顔がいた。スタンたちもいたし、ルルーシュやサレやルカやスパーダもいたな。別にいい。知らない奴も多かった。これも別にいい」
『あんまり納得してそうな顔には見えませんが』
「別にいいんだ。でも、あいつらは一体誰なんだ。どこのどいつだ。誰がユーキの王子様だったんだ」
『誰もがきっと王子様だと思いますが』
「シャル。僕は真剣に話してるんだぞ」
『そうは思えないだろうな、とは自分でも思うんですけど、僕も真剣に答えてます。誰もが王子様です』
「誰なんだ。何者なんだ。いつでも微笑みを絶やさずに、優雅にりんごをかじっていたのは誰だ。ところかまわず爆睡してて、通行に非常に邪魔だった茶髪は誰だ。なんか、動物でいうと犬みたいな…」
『だから、王子様ですって』
「語尾にときどき「にゃ」がついたり、バンダナ巻いてたり、ワカメカットだったり……ほか多数。誰なんだ、奴らは」
『王子様ですよ』
「大きな赤い花の髪飾りをつけたドレスの女に、メイドなのにミニスカート……」
『女性陣じゃないですか』
「僕になんとなく似た雰囲気の奴もいたぞ」
『あれは男です。仲良くなれそうじゃないですか、坊ちゃん』
「なんなんだ。ユーキの世界は、一体どうなってるんだ。僕は…というか…男率高いな」
『仕方ないですよ』
「僕の立場はどうなってるんだ」
『ああ、もうだめだ。ユーキが帰ってくるまで待ってようっと』
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