関係のない人間のことで、いちいち腹をたてるのはバカらしい話。生きていくって難しいね。
前々から思ってたけど、道端にいるちっちゃい鳥。あいつらちっちゃいから、当然距離的には大したことないぶんしか進めないんだけど、歩くスピードめちゃ速くない? 右出して左出して次また右出して、っていう、その流れが異様にスピーディー。残像見えるし。人間が残像見える速度で歩いたら、1分間にどれだけの距離を進めるんだろう。
ってなことを考えてみたんだけど、どうかなあ。
「またこのシリーズか」
『どうかなあ、と言われても』
シャルは考えない? そういうこと。
『いやー……ないなあ。ていうか不思議だよね。鳥って飛ぶものなのに、あえて歩くスピードについて考えてみた、ユーキの着眼点』
「そこに突っ込むのか?」
『あれ。僕、間違えてる?』
「ユーキ、お前は暇なんだな」
『僕のことはスルーですか、坊ちゃん』
けっこう前から思ってたことなんだよね。坊ちゃんはどう? あー、あのちっさい鳥、歩くのはっやーい
とか、思ったことないの?
「僕はお前ほど暇じゃないんでね」
またまたあ、そんなかっこつけたこと言っちゃって。単にアレでしょ、周りを観察できてないだけなんでしょ?
「なんだと? そんなことで僕の仕事が務まると思うなよ」
『なんで微妙に上から目線……まぁ、立場的には仕方ないのかな』
ユーキと坊ちゃんは、観察のジャンルが違うんだね。ま、ユーキは気楽に生きてるってことなのかな。
「常に緊張でピリピリしてるよりはいい」
うん、そうだね。ねえ、坊ちゃん。
「ん?」
すきー。
「…え……」
『はあ。いつもいつも、ほんっと突然なんだから』
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