たとえ貴方の「一番」になれなくても
私の役目と理由をつけて
声を聴きに行けることが嬉しかった
誰かを傷つけていても貴方が大切だった

私自身が傷ついたとしても
全て貴方に捧げる糧となるなら
咲き荒ぶ緋色の華も瀬戸際の交響曲も
零れ堕ちて逝く生命さえも怖くなかった

私は生まれたときから悪魔だったの
都合のいい駒でしかなくても
貴方の傍へ行く口実さえあれば良かったのに
私が壊れたのは何時からかしら

貴方の「一番」に果てしない嫉妬
でも貴方の哀しむ顔を見たくなかったから
私は今まで通りの定位置に立ったの
本当は私だけの貴方でいて欲しいのに

貴方と貴方の「一番」の秘密を知ったとき
貴方からではないことを願った
「たった一度の口付け」と人は言う
一度きりだから逆に重いと気付いて

貴方が許した口唇の相手を直視できない
私はただの偽命人形?
貴方の「一番」を追いかけてしまう私はもう
叶わない恋に苦しむひとりの乙女なのよ

二人のキスを思いながらも
私は貴方のためだけに手を染めるの
貴方が私に望むのならば
どんな罪悪さえも功績に変えましょう

私を遠ざけて貴方の「一番」を連れる
貴方の心に私はどう触れているの?
もう駒にすらなり得ないなら
せめて最期は貴方を護る夢を見させて

世界すべてを憎みながらも
穢れたことなんて考えはしない貴方と
貴方の「一番」が一緒の夜が羨ましくて
ただ互いが大切なだけの二人の当たり前さが欲しい

所詮私はイレギュラーね
偽命人形は心までもが機械仕掛けよ
でも貴方が大好きだったと
そう思う気持ちに嘘なんてない

最期の最期だけれど
貴方のために捧げた私自身よ
抱き締めたりしないでいいの
貴方の体温が優しすぎて眠りたくなくなるわ

たとえ貴方の「一番」になれなくても
声を聴けることが嬉しかった
どんな罵声をぶつけられても
貴方が貴方でいてくれるならそれで良かった

たとえ私が貴方の姫ではなくても
私にとって貴方は本当の王子様だった
まだ少しだけ時間があるなら
貴方が王子様でいてくれたことに最高の「ありがとう」を

貴方の「一番」をどうか護り抜いて
貴方の「一番」はどうか傍にいてあげて
貴方が私の王子様でいてくれたこと
それだけで私は新しい運命を期待できるから