『坊ちゃん』
「嫌だ」
『嫌なんですか?』
「どうせユーキを探せとか言うんだろ」
『そうじゃなくて、あっちを見てください』
「ん?」
『ユーキらしき人物が走ってきます。なにか持って』
「ユーキだと?」
坊ちゃあーんヽ(´∇`)ノ!
「…確かに」
『なんか…なんですかね、あの顔』
坊ちゃん、はいコレ。ユーキが坊ちゃんのために作ったチョコクッキー。ちょっと遅れちゃったけど、バレンタインの贈りもの。
「え……」
あ、でもけっこう前に作ったやつだから、早く食べてね。ていうかお腹壊したらごめん。
『おお。仲直りかな?』
今度は、チョコ使ってチーズケーキでも作ろうかな。モンブランにも挑戦したいんだよねー。どっちも坊ちゃんに食べてもらいたいし。ねえねえ、ユーキがチーズケーキとかモンブラン作ったら、ちゃんと食べてくれるでしょ?
「ま、まあ、お前がどうしてもと言うなら……食べてやらないこともない。言っておくが、僕は辛口評価だぞ」
もぉー、素直じゃないな、坊ちゃんは(o^∀^o)あ、プリンも作ってみようと思ってんだけど、マリアンさんと比べないでよ。敵うわけないし。
『謙遜なんていらないよ、ユーキ。マリアンとユーキでは、坊ちゃんに向けてる気持ちが違うからね。坊ちゃんが感じる味も違ってくるって』
気持ちが違うって?
『マリアンもユーキも坊ちゃんを大切に思ってるけど、まあ、違うじゃない』
あー、それもそうか。でも、技術的にはやっぱりマリアンさんには負けちゃうって。弟子入りしたいくらいだし。
「べ、別に僕は比べたりしない! マリアンが作ってくれたなら、それも嬉しいけど……ユーキも、ユーキで……その……」
うわ。なんか、かわいー。
「かわいくない!」
『クリスマスのときも、ユーキがプレゼントをくれるならなんだっていい、みたいな雰囲気だったのに』
「シャル…っ」
『あ、すみません。独り言でした(o'∀'o)』
「くっ……目障りな顔文字を……
」
ねえ、坊ちゃん。
「ん?」
勝手に怒ってどっか行っちゃって、ほんとにごめんね。怒ってる? 怒ってるよね。
「え? い、いや……別に」
本当ごめんなさい。ユーキが勝手にキレてた。
「別に、謝らなくても…それに、僕のほうも…」
え?
「ムキになって、悪かったなって……」
『じゃ、お互い様ということで。仲直りは成立ですね』
へへ(`▽´) そうだね。
『じゃ、坊ちゃん。早速試食でも』
「試食?」
『ユーキも食べたら? チョコクッキー、見たところかなり多いようだけど』
あ、そうなんだよね。大好きな坊ちゃんのために、いっぱいラッピングしたから。ってか、しちゃったんだよね。えへへへ(o^v^o)
「……///」
あ、照れてる! 坊ちゃんったら、かーわーうぃーうぃー(≧ω≦)
「か、かわいくないっ!」
『即座に否定するとこなんて、特に』
「シャル!」
『なんでもないです。さて、これで一件落着ですね。……それはそれとして、僕、さっきからずっと寒気がしてるんだけど。なんだろ、この感覚』
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